「紫猫のギリ」@シアターグリーン BOX in BOX THEATER

 

こんにちは。2019年一発目の記事になりますね。

 

早速ですが本題に参ります。先日25日に観劇した「紫猫のギリ」、

 

 

 

 

 

あまりにも良かった!!!!!!!!

 

 

いや、あの、本当に本当におもしろかったんです…ストーリーも構成も演出も照明や音楽もキャラ設定も世界観も、何もかもが大正解の大成功でした。今まで観てきたなかで、一番おもしろい作品だったかも、と思うほど。(実際一番なんて選べないんですけどね。)

 

※以下、盛大なネタバレを含みますのでご注意ください

 

※記述のシーンやセリフについては正確でない場合がありますので、ご了承いただけますと幸いです…

 

 

 

まず劇場到着後思ったのは、「ハコちっっっさいな!!!?」ということです。キャパ狭い狭いとは聞いてましたがここまで小劇場だったとは…。固定座席104席らしいですね。

 

暗転していざ開演。ぞろぞろと出てきたのは歌舞伎を見終えて大満足している侍たち。そういえば上演前の案内とかなかったな〜と思っていたのですが、ここで案内してくださるんですね!携帯の電源は切りましょう、飲食は禁止です、などの注意を、あくまで江戸時代の設定を守りつつ(笑)客席に注意喚起したあとは拍手の練習。続いてコーレスやって客席を温めてもらいました。「30ー!」\DELUXEー!/はわかるんですけど「プレステー!」\ジー!/はwwwwwww(これ日替わりなんですかね〜)

 

親切な侍の皆さまがはけた後、ようやく本編開始。2.5次元舞台っぽく、キャストひとりひとりにピンスポが当たって名前と顔を紹介する形式のオープニングだったんですけど、これがもう最高すぎてこの時点で既に「あっ これはもう一回見たいやつ〜!」と思いました。

 

舞台は小さいんですけど、三枚の幅狭な幕と映像エフェクトを上手に使って、今どの場所で物語が展開されているのかを都度明示してくれますし、雨が降ってきた様子や船の甲板の上に出てきた様子、敵が近づいている暗澹とした雰囲気なんかがわかりやすく表現されていました。物語の転換点もわかりやすいんですよね。板の上のスピードに置いていかれることがない。

 

そして何より殺陣シーン!稽古してきたアクションに更に迫力ある音響や照明が合わさって、しかもあのサイズの箱なので伝わってくる気迫がスゴイ。マジのマジにカッコよすぎて私は終始アホヅラを晒していたことと思います。うん。

 

脚本の構成も、ボルテージの上げ方が非常に上手いと思いました。(もちろん素人目線です!)オープニングで一回ブチ上げた後、急降下させるような感じ。登場人物それぞれのバックグラウンドが不明確なまま、徐々にそれらが明らかになっていく。だからこそ自然とストーリーに集中するし、惹きつけられるというか。少しずつ上がっていき、クライマックスに向けて一気に放出されるイメージ。最後には、珠ノ新に生きて欲しいという思いと、ギリに化け猫になって欲しくないという思いが皆ひとつになり、恩蛇を倒すところでMAXになる。観ていて大変気持ちがよかったです…。

 

あとはキャラ設定が、いちいち堪らんものがありました。

ギリは子猫だった頃に、弱っているところを珠ノ新と茉莉花に救われました。しかしやっと手に入れた幸せを奪われ、抱えきれないほどの憎しみを溢れさせ、恩蛇にいいようにされてしまうわけです。もうこれが辛いじゃないですか…。登場時は「人斬りのギリ」に過ぎないわけですよ。「復讐をのぞむ化け猫」です。でも彼がそうなってしまったのは、かつての家族であった茉莉花や珠ノ新を慕っていたからなんですよね。彼らのことが大切だったからこそ、侍(実際茉莉花を殺したのは恩蛇だったわけですが)を憎み、化け猫となる寸前まで来てしまった。ギリ、愛おしくて堪らないではないですか……。思いのぶつけどころがないので、私は帰宅後自分の家のネコチャンをギュッてしておきました。

あと村瀬さん演じる朝倉さん。敵と内通したり、強力な薬で無理矢理ギリを眠らせたりと、この人本当に味方なのだろうかと思わせる部分が多々ありました。でもこれがかつて恋い慕っていた茉莉花を失った悲しみと、同じ事を繰り返すまいという強い決意による行動だとわかると愛おしいし切ないです。妙庵のおじさんに「おぬしがかつて茉莉花さまを慕っていたことは気づいていたぞ」と言われたときの動揺っぷりといったら…。あとこれはパンフに書いてあったことですけど、かつて恋心を抱いていた人の息子ということで、珠ノ新には強く出られないそうです。そんな一面…!アンタ…ッ!!!(拍手喝采

そして個人的に、おたま演じる乙もその出自を知ると胸がチクッと痛むような、そんなキャラクターでした。誰よりも明るいぶん、余計に切なくなります。幼い頃親に捨てられ、ずっと一人で生きてきた。生きていくために、男娼になるしかなかったという…。ずっと独りでずっと寂しくて、ようやく一緒にいたい人を見つけたと思ったら、それも叶わない様子。彼のそんな悲しみや嫉妬が、これまた恩蛇に悪用されてしまうわけです。でもラストシーンでは、今後行動を共にすることをギリは拒みませんでした。おそらく、これがギリの最大限のデレであり、乙にとっても最大のハッピーエンドなのでしょう。最後「兄貴〜!早く来ないと置いてっちまうよ〜!」という乙の声に、本当にわずかながら一瞬だけ微笑んでから立ち上がるギリを見て、報われた気持ちになりました。(微笑んで見えたの、気のせいでないことを祈る…)

 

 

そしてやっぱり、キャスト陣のビジュアルが!イイ!!!!!!!!!!

 

ギリそまさん、セクシー垂れ流しすぎでしょう…。見た目もさることながら、役としても、「こんな壮馬が見たかった」要素が溢れすぎていて、本当に製作及び関係各社に御礼申し上げます!!!!!!!!乙おたまも美人さんすぎたな…。乙とはまた別の、グッズ用ビジュアルのおたまもただただ"美"の具現化。取り急ぎ撮影時に使ったアイシャドウが何か教えて欲しい。

 

 

最後に、グッときたシーンベスト3を挙げて終わりにしたいと思います。3つに絞れるはずがないのですが、特に印象に残っているもの、書き残したいものを歯食いしばりながら選びました。まあ円盤出るらしいのでいいんですけどね。

 

<ベスト3>

あばら家(ギリと乙の住処)にて、「お前魚食ったろ」のシーン

 

いつものように侍狩に出た際、恩蛇の手下たちと出くわし大怪我を負うギリ。乙が傷ついたギリをあばら家に運び込み、手当てをします。長いこと寝込んでいたギリが目を覚ますと、乙がお手製の薬草粥を差し出します。ギリは嗚咽しながら食べるのですが、(相当マズイ粥を「自分で作っておいてなんだけど良く食べられるな!」と言う乙に対し「治る味がする」と行って一生懸命食べるギリ、あまりにも可愛い…。)何かいい匂いがするのを嗅ぎ取ります。部屋中嗅ぎ回って匂いの主が乙だと分かると、乙の身体をホールド(!!!?)するんですけど、乙の華奢な腰に手を回して顔を近づけ上半身だけ倒す姿勢で、美少年たちがいったい何やっとんじゃ状態ですよ。やらしい目で見てゴメンな…。「お前何かうまいもん一人で食っただろ」と、詰め寄るギリでした。(乙くんがコッソリ食べたのは魚。)この二人ちょくちょくカップルか?!!と思うシーンがあって。それは乙が男娼であってそういうコミュニケーションの取り方が彼にとって普通だからなのかもしれないですが、観客のとある層には相当響くのではないかと思いましたね。以上、とある層に含まれるオタクの感想でした。汚れた目で見てすいませんでした。

 

<ベスト2>

船室にて、心が荒れるギリを珠ノ新が優しく抱きしめるシーン。

 

敵から身を隠し、逃げ続けている珠ノ新の一行は長崎へ向かうことを決意します。その道中、敵に襲われているところにギリが登場。珠ノ新の仲間を一人失いながらも、間一髪、長崎行きの船に乗り込みます。船の一室で、改めて対峙する珠ノ新とギリ。「どうして生きていたんだ。お前たちが死んだと聞かされたから俺は人斬りになったんだ。」「俺はもうただの人斬りだ。何人殺めてきたかわからない。」と、(きっとこれまでの行為を悔いながら)汚れてしまった自分はもう後戻りできないとでも言うように喚くギリ。そんなギリを珠ノ新が抱きしめます。過去ではなく、未来を見つめて生きて行きなさいという茉莉花からの言葉を贈る珠ノ新。このときのギリ、もとい壮馬のサイズ感があまりにもギリ!(←語彙力の死滅)飼い主のもとで大切にされていた猫、すばしっこく動き回り敵を斬り倒す猫、つまりは壮馬さんの173cmの背格好ってギリにピッタリなんですよね。乱暴な言葉や態度であっても、誰に対しても見上げて物を言う感じ、まさに猫という小動物感が出てたと思います。で、話を戻しますと、珠ノ新の腕の中でキョトンとしたまま脱力するギリの姿が忘れられないのです…。これ以上人を斬らないよう、斬った人数が1000人に達し、本当の化け猫にならないよう、珠ノ新はギリの形見として持ち続けていた鈴をギリの刀に括り付けました。All need is love、愛こそすべてって感じですね…(なんつう感想…)

 

<ベスト1>

恩蛇に捕らわれた珠ノ新たちを救うべく、ギリが恩蛇の居場所(出島の商館)に殴り込んでくるシーン。

 

朝倉は長崎で敵と対峙し、自分ひとりで戦おうとします。が、恩蛇に操られた乙が珠ノ新を差し出してしまいます。主人を人質に捕られた朝倉は、成すすべなく同じ捕らわれの身に。珠ノ新の千里眼が欲しい恩蛇はその目玉をえぐり取ろうとします。もうダメだ〜〜〜〜!というこの絶望的状況に飛び込んでくるギリのヒーロー感ときたら!!!!!!なんか、ギリがすっ飛んできた瞬間の高揚感がヤバかったんです…。しかもギリは珠ノ新との約束を守り、恩蛇から与えられた刀を抜こうとはしません。抜かないまま敵と戦い、彼らを救い出そうとするのです。これが泣ける。てか泣いた。最終的に刀を抜かず戦い続け、ギリは敵の攻撃を受けまくり、あわや死すか…!というところで珠ノ新がギリを庇って倒れます。これにブチ切れたギリは封印していた刀を抜き、改めて敵に立ち向かっていくのです。大切な珠ノ新を守るために、彼との約束を破り、自分が化け猫になることなど知ったことかと!やはり愛こそすべて!!!

 

 

以上、ざっくり述べて参りましたが、こんな感じで目にも心にも心地良く、三味線の音色の疾走感とともに流れるようなアクションと、たまに現れるコミカルな要素を堪能できる最高の舞台でした。自分が観劇した後人様の感想もいろいろ見てみたのですが、殺陣や物語のリズム感にもたつきとかあったんですね。3日目に観劇した自分としては何も気にならなかったですしむしろ素晴らしいと思ったので、それだけ改善の努力がなされているということでしょうか。(座席がなかなか前方だったので、近すぎて気にならなかったという説もあります…)とにもかくにも、おふたりは本当に良く頑張っていました。誇りに思います。もちろん共演者の皆さまも、大変素晴らしかった…!

 

 

あとこれは余談ですが、同じ公演を溝口くんも観劇されていたというミラクルハッピー案件もございました。何ていい日なんだ〜!!!微塵も気づかなくてスマン!!

 

ネタバレなしの感想を述べるのが至難の技すぎて思わずブログに書き殴ってしまいましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました!大阪での大千秋楽まで、怪我なく無事に走り切れることを影ながら祈っております。

 

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